とある午後 2





正義を行えば、世界の半分を怒らせる

 

 

 

 

この物語は真実である。

ゆえに重要なものである。

重要であるがゆえに、目を逸らしてはならない。

 

 

 

 

 

 

この物語は全て真実です。

真実のために、【一部の方】に多大なる不快感を与えるかも知れません。

この物語を読んだために不快感を覚えても、

世間的に恥ずかしい手段は行使しないで下さい。

以上の事を了承できる方は先にお進み下さい。

【一部の方】に該当したらヤだなと思う方はお戻り下さい。















 
 二〇〇四年X月XX日。朴念仁愚連隊、雷華伍長は平日の暑い昼下がり、某国立公園のサイクリングロードを両親と共に歩いていた。

 所用は滞りなく済ませ、これから帰ろうという時である。暑さに耐え兼ねていた三人は喉を潤すべく缶ジュースを飲んでいた。

 上から詰め込めば下から出るというのが自然界の法則である。空缶を捨てるついでにトイレに寄ると両親に宣言し、雷華は三〇メートルほど離れた公衆トイレ前のダストBOXに向かう。

 休日には人で賑わうこの国立公園も、平日となると利用客は極端に少ない。何百台と収容できる広大な駐車場には我が家の車以外、一、二台の乗用車が停車しているのみであった。

 ところが、一台の白いバンタイプの車が雷華の目を引いた。

 特に異常がある訳ではない。敢えて言うならば、フロント以外の全ての窓に真っ黒なスモークフィルムが貼られている事くらいか。――その程度ならばいくらでもそこらを走っている。

 雷華の目を引いたのは、車の停車位置であった。

 この国立公園はいくつかのエリアに分けられており、それぞれに至る道が三つほどある。当然、この広大な駐車場の事だから、利用者は自分たちが行きたいエリアの入り口付近に車を停車するのが普通である。

 ところがそのバンが停まっていたのは、どの入り口からもイマイチ遠く、しかも車椅子専用スペースに被っている。そしてそこには、日差しを遮る並木もない。――つまり、【そこ】に停める必然性がないのである。

 ふと見れば、トイレから少し離れたところを二人の若い男がダルそうに歩いている。――否、ウロウロしている。この暑いのに、木陰にも入らず、ただふらふらと。到底、目的があって歩いているようには見えない。

 車から二〇メートルほども歩いたろうか? 両親は駐車場から車を出し、今まさに雷華が向かっているトイレの前まで移動してくるや、あろう事かエンジン駆けっぱなしで、二人ともさっさとトイレに入ってしまった。

「…をいっ!! なにしてんのやっ!! 親っ!!」

 普段ならばここで両親を一喝して終りなのだが、今日は普段とは違っていた。

 先程の、ダルそうにしていた男二人が、ミミズを見付けたオサムシのように小走りで男子トイレに入っていったのである。

「……」

 この辺り、商売人の娘である。ちょっとした目配せ、仕種一つである程度、その人間の人格が解る親と兄のもと、雷華も通常人より人間観察の目がある。(あるかなー? KA−Z談)

 まずは当初の目的である空缶を捨てに行くと、二人はいかにも「ボクたち、用を足してま〜す」と言わんばかりに、外から丸見えの位置で用足しをしている…様に見える。(見てたのか? KA−Z談)

 とにもかくにも、その二人を既に【怪しい】と認識している雷華は、わざと大きな音を立てて空缶を捨て、男子トイレからは死角になる女子トイレの入り口で我が家の車を見張る事にした。すると…

(出やがったよ…)

 雷華が身を潜めて五秒、たった五秒後の事である。二人が走り出した時間を合計しても二〇秒足らずだ。これが本当ならセミ並みの早さである。

(……)

 あからさまに怪しい二人組は、やたらに周囲を見回す事で更に【ボクって怪しいでしょオーラ】をぶちまけながら我が家の車に近付いていく。夏休み真っ盛りの学生は駐車場と縁はないから、周囲に人影は皆無だ。公園の管理事務所も、駐車場の料金所も遥か地の果て、木陰の向こうなので誰かに見られる気遣いはない。

 ――雷華以外は。

 無防備な車まであと一メートル。正に車の中を覗こうとした瞬間、何気なく振り返った男たちの片割れと真正面から目が合った。

「……ッッ!!」

まるでスリッパが、蝿叩きが、丸めた新聞紙が振り上がった気配を察知したゴキブリの如くサササーっと車から離れていく二人。

 ――ただでさえ普段から【男か女か解らない】、【プロレスラーと一緒に写真を撮ると、本物よりも本物らしい】と自他共に認める奴が、拳をバキバキと鳴らし、尊大に腕を組み、えらく殺気立った目で自分らを凝視しているのだ。後ろ暗いコトをしようとしているヤツから見れば「マジヤバ気なヒトがコワイ目でコッチ見てるぅ〜〜〜ッッ!」――といったところか。まあ実際雷華は目付きが悪い。近眼だから自然にそうなるのだ。

 とにかく、今回は雷華の目付きの悪さが功を奏し(?)、犯罪は未然に防がれた。もしこの車上荒らし(らしき連中)が我が家の車に触ろうものなら、

「おのれら! なに、人様の車にアヤ付けとんのやッ!?」

 ――と、ドスの効いたエセ関西弁で追い払おうという事態になっただろう。ただこの連中はそれなりに小心らしく、ガン付けだけでそそくさと離れていった。

 さて、両親がトイレから戻ってきて車に乗るのを見届け、雷華が改めて用を足して戻ってくると、例の白いバンが逃亡していくところであった。

 さあ追跡だ! ――という訳ではなく、ただ単に駐車場を出ようとする我が家の車であったが、その白いバンはと言えば、出口への分岐点を行き過ぎて再び駐車場内へと戻って行く。これはやはり、車上荒らしか何かか? この国立公園の目の前には警察署もあるというのに、奴等には関係ないらしい。

 世間は夏休みで浮かれているかも知れないが、気を引き締めるべき所は弁えねばなるまい。あのような人の風下に置くべきヤカラには、平日も休日も、盆も正月もないからだ。

 雷華からの提言です。皆様も気を付けましょう。意外と身近な問題ですよ。

 その後、家に着くまでの小一時間、両親に説教を垂れる雷華であった。



 ――で、KA−Z帰宅。



――ゴスッッ!!





 ――(KA−Zの鉄槌! 雷華は二〇のダメージを受けた!)



「何でそのバンのナンバーを控えておかんのじゃ! 【ココ】で晒しモンにしてやったのに!」(半分くらいは冗談です――KA−Z談)

「それ以前に! ヤバそうだと思ったのなら、なぜ即座に車に戻らなかった? そうすりゃバカどもにバカな考えを起こさせずに済んだろうが!」(それが防犯というものです――KA−Z談)

「脅して追い払う? 今日び、そういう事をしようなんて連中が丸腰の訳ねーだろっ! 今日のお前はスゲェヤベェ状態にあったんだぞ!」(もうマジです――KA−Z談)



 ――と、このように物凄ェ勢いで怒られました。



「隙を作るな、見せるな、与えるな」



「変な気を起こすな、考えるな、起こさせるな」



「防犯と安全を第一に考えろ」



「危ない場所、人、物には近付くな」



「争いはとことん回避しろ」



「危険からはまず逃げろ」



「防犯ブザーを常に持て」





 以上は我が兄KA−Zからの提言です。――バイオレンスな物書きをやっている割りに現実的だなァ・・・



――ゴスッッ!!





 ――(八極拳・外門頂肘! 雷華は五〇のダメージを受けた!)



「何馬鹿なことを言っとんのじゃ。現実を直視しているからこそ――



描写はなるべくリアルに



現実離れした



現実に起こってはならぬ事を



単なる娯楽作品に留まらぬ



社会に対する警鐘をちょこっと混ぜ





 ――書いておるのじゃ!」



 ――ごもっともです。――今日び、凶悪犯罪が多発しているようですが、ちょっとした気遣いで身を守れるのも事実ですので、皆さんも気をつけて下さいマセ。



 ――以上、雷華からの提言でした。――あたた…。









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